青森県六ケ所村にある使用済み核燃料の日本原燃・再処理工場を見る機会がありました。サッカー場なら1000個分にも相当する広い敷地に、ウラン濃縮工場や、原発を解体した時に出る放射性廃棄物を埋設する施設などが建っています。
再処理工場は原発から出る使用済み核燃料からウランと、毒性の強いプルトニウムを取り出す施設。政府が「核燃料サイクル」の柱に位置づけ、1993年に着工しましたが、事故やトラブルが相次ぎ、22年たっても完成していません。
使用済み核燃料を全国の原発から受け入れて貯蔵するプールを窓越しに見下ろしました。再処理のめどが立っていないため、プール内の使用済み核燃料は「満杯に近い」状態。各地の原発敷地内にも使用済み核燃料が貯蔵されたまま、数年で満杯になるところさえあります。
出力100万キロワットの原発1基が再稼働すれば年間21トンの使用済み核燃料が新たに発生すると、案内者が説明していました。使用済み核燃料は、要するに“死の灰”の塊です。その後始末も見通せていないのに、原発の再稼働を進める安倍政権と電力会社の無謀さ。
政府は今月、使用済み核燃料の貯蔵能力を拡大する原発のある自治体に新たに交付金を出す方針を決めました。原発を再稼働した自治体に交付金を増やそうとしていることに続く、あからさまな再稼働促進策です。
安倍首相は「原発依存度は可能な限り低減させる」と繰り返しています。その言葉のしらじらしさ。国民はとっくに見抜いていますが。
(「しんぶん赤旗」2015年10月29日「きょうの潮流」より転載。見だしは山本雅彦)