原発問題住民運動全国連絡センターは10月18日、青森市で全国交流集会を開きました。
240人が参加。東京電力福島第1原発事故の実相・経験・教訓について国民との広く深い対話・議論を通じて、「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロ」の合意形成をめざそうとのアピールを採択しました。
集会では、核燃料サイクル施設立地反対連絡会議代表委員の諏訪益一さん(日本共産党県議)が、日本原燃再処理工場(同県六ケ所村)などから原子力規制委員会に出された新規制基準の適合性審査請求の問題点を報告。「使用済み核燃料の再処理や最終処分地の行方は答えが出ていない」とし、最終処分を含めた核燃料サイクル政策が成立するかどうかも審査基準にすえるべきだと指摘しました。
下北半島に建設中の電源開発・大間原発(同県大間町)の耐震安全性について新潟大学名誉教授の立石雅昭さんが報告。同半島で専門家から地震性の隆起が指摘されている一方、電源開発が規制委の審査で反論している状況だとして、研究者と住民団体による調査活動が重要だと強調しました。
福島県いわき市在住の伊東達也・同全国連絡センター筆頭代表委員は、震災関連死が1974人に上り「刻々と増えている」など東電福島第1原発事故による深刻な状況などを詳しく述べ、「原発再稼働の暴走は断じて許されない」と強調。「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロ」の合意形成に向けての取り組みで問題提起しました。
討論では、九州電力川内原発の地元・鹿児島県で90以上の団体が再稼働反対で共同しているなど各地の運動を活発に交流しました。鹿内博青森市長がメッセージを寄せました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員があいさつし、真島省三衆院議員が参加しました。
(「しんぶん赤旗」2015年10月19日より転載)
青森からのアピール
私たちは、今日、「『原発・核燃からの撤退』合意形成を! 原発再稼働STOP!全国交流集会in青森」に集まりました。
私たちは、安倍政権の九州電力・川内原発にはじまる原発再稼働の暴走によって、現在、日本列島が、改めて福島第一原発事故と同じ苛酷事故の再発の危険にさらされる事態となっていることについて、怒りを込めて抗議します。
原発再稼働の暴走は、国民の生命と財産、安全に重大な脅威をもたらす点で安倍政権の「戦争法制」への暴走と一体のものです。
原子力規制委員会(規制委)の新規制基準(新基準)による適合性検査を「合格」した原発だからといって、福島第一原発事故の再発防止の保障はまったくありません。規制委の新基準は、原発再稼働の口実に過ぎません。新基準は、福島第一原発事故の検証にもとづくものではないからです。
福島第一原発事故は、1〜3号機原子炉のメルトダウン、メルトスルーで止まりましたが、これが5〜6号機原子炉、すべての使用ずみ燃料プールに波及しておれば、「強制避難」は170キロメートル以遠、「自主避難」は250以遠に及んだであろうと、当時の原子力委員会委員長は報告しています。原発再稼働による苛酷事故の再発は、福島以上の原子力災害も想定されます。この立場からの原発自体の安全の検証もなく、まして原子力災害対策・避難計画も審査対象外としており、原発の再稼働はありえないことです。
また、事故後、四年半を経過しながら、福島第一原発事故の被災者・被災地対策も、事故収束・廃炉対策も、なんの見通しも立っていません。これらの緊急諸対策を棚上げにして、原発の再稼働はありえないことです。
福島第一原発事故は、史上最悪の公害となっていますが、その加害責任を負うべき国と電力会社は、根本的な反省もしないままに、原発依存政策に回帰し、改めて国民の生命と財産の安全を、重大な脅威にさらしています。これは社命的犯罪というしかありません。
さらに、福島第一原発事故は、日本社会の原発依存からの脱却の必要性を、痛切な犠牲をともないながら教えたものです。
原発依存は、日本の未来の豊かなエネルギーを保障する自然エネルギーの開発を徹底して抑制してきただけでなく、日本の経済活動を大きくゆがめてきました。これを抜本的に転換することが必要です。
私たちは、国と電力会社に対して、福島第一原発事故に対する加害責任について根本的に反省し、被災者対策、被災地対策、事故収束対策に万全を期すことを求めます!
私たちは、原発再稼働へ暴走、「戦争法制」へ暴走する安倍政権の退陣を求めます。
私たちは、改めて呼びかけます。
安倍政権の原発再稼働の暴走にストップをかけましょう!
福島第一原発事故の再発の危険に反対する運動を大きく広げましょう!
福島第一原発事故の実相・経験・教訓について、国民との広く深い対話・議論を通じて、「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロの合意形成をめざしましょう!
2015年10月18日
「全国交流集会in青森」参加者一同
(文責:山本雅彦)