破綻済みの核燃料サイクル事業を維持・推進するために事業のあり方を検討する経済産業省の作業部会「原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループ」第3回会合が8月31日に開かれ、方向性についての経産省案が示されました。現在、再処理事業を行うのは、電力会社などが出資する株式会社の日本原燃ですが、同案では、別の認可法人を設立し、その法人が日本原燃に再処理を委託するとしています。
認可法人は国の許可がなければ解散できません。案では、事業の実施計画を国が確認するなどとしています。
また、事業に必要な資金について、原発を持つ事業者が積み立てる現行方式を、電力が自由化されて資金が確保できるように、すべての使用済み核燃料を対象に、拠出を義務付ける制度に変更するとしています。
原発の使用済み核燃料を再処理して、プルトニウムとウランを取り出して再び燃料に使う核燃料サイクル事業は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が運転のめどが立たず、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)もトラブルが相次ぎ完成時期を22回延期するなど、完全に行き詰まっています。
委員からは「認可法人がいいのかは慎重に考えるべきだ」「再処理事業を進めることに国民の合意がとれていると思えない」という意見もありました。
(「しんぶん赤旗」2015年9月1日より転載)