原子力規制委員会は8月5日、九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)について、運転開始から30年の高経年化(老朽化)技術評価とそれに基づく長期保守管理方針を認可しました。運転を前提とした老朽化対策の技術評価について規制委が認可したのは初めて。評価が終わっていない機器もあるなか、市民団体などから再稼働の日程合わせのずさんな審査だ、と批判の声が上がっています。
原子炉等規制法では、運転開始から30年を迎える原発に対して、老朽化を考慮した原発の評価とそれに基づく今後10年間の保守管理方針の策定を求めており、その後、10年ごとに同様の評価を求めています。
7月で運転開始から31年となった川内原発1号機は、2013年12月に老朽化の評価などを規制委に提出。
しかし、その後、新規制基準の適合性申請で、原発で想定する地震の揺れ(基準地震動)が引き上がったことから、九電は今年7月3日に大幅な補正をした申請書を提出。それから1カ月余りのスピード審査です。
基準地震動に対する影響評価が完了していない機器があるため、今後、九電が1年かけて評価するといいます。また、腐食を考慮した場合、耐震評価がギリギリとなる配管が報告されていますが、実測データを反映した評価の実施を定めることでよしとしています。
田中俊一委員長は、これまでの会見で「(認可前の再稼働は)一般的な感覚としては理解し難い」と述べ、審査を急ぐ方針を示していました。
(「しんぶん赤旗」2015年8月6日より転載)