【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は8月3日、地球温暖化対策として、国内の石炭火力発電による二酸化炭素(CO2)排出量を、2030年までに05年比で32%削減するとした規制強化策を発表しました。従来の案より2ポイントの上積みです。オバマ氏が大統領権限で実施します。
米環境保護局(EPA)は昨年6月、火力発電所からのCO2排出量を30年までに05年比で30%削減する案を公表していました。
ホワイトハウスによれば、火力発電所に対する連邦政府による全国的な規制は初めて。
12月にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向け、オバマ政権は米国全体の温室効果ガス排出量について25年までに05年比で最大28%削減する目標を示しています。今回の規制は米国目標実現を後押しします。ホワイトハウスはパリ会議へ「国際交渉に弾みをつける」と指摘します。
石炭火力発電所の排出を規制する一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーが全体に占める割合を30年までに28%にまで引き上げるとしました。従来の目標より6ポイント増です。再生可能エネルギーへの投資を増やし、雇用増を目指します。
各州は削減計画をつくり、当面の計画を16年までに、最終計画を18年までに提出しなければなりません。
新たな規制策には、石炭火力発電に依存する州や気候変動対策に消極的な野党共和党の反発が予想されます。オバマ氏は3日、ホワイトハウスで演説し、「われわれは気候変動の影響を感じられる最初の世代であり、何か行動できる最後の世代だ」「規制策を実施し、子どもたちにより良い将来を残す時だ」と述べました。
環境団体は新規制策をおおむね歓迎しています。同時に「科学の警告に照らすと十分でないことも明らかだ」(地球の友)として、いっそうの取り組みを求めています。
(「しんぶん赤旗」2015年8月5日より転載)