再稼働への準備が進められている九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の新規制基準適合性審査の問題点や原子力災害対策に関して、川内原発30キロ圏住民ネットワークなど市民団体は6月29日、政府交渉を行いました。
火山対策が焦点の一つになっている川内原発の審査では、九電が火山活動のモニタリングを実施し、破局噴火の兆候を検知した場合、搬出先を検討し、核燃料を取り出すなどとしており、規制委も妥当としています。
しかし、多くの火山学者が、余裕を持った破局噴火の予知は不可能と指摘しています。交渉で、市民団体は「どのような審査をしたのか」とただすと、規制委側は「破局的噴火の可能性は十分低い」との見解を繰り返しました。
また、川内原発の審査では最大で15センチの降灰を想定してもディーゼル発電機のフィルターが詰まるまで約26・5時間の運転が可能であり安全性に問題はないという評価をしています。
しかし、評価の根拠となっているアイスランドの噴火事例は、わずか0・5センチの降灰の地点であることが、市民団体から指摘されました。これに対し、規制委側は「確認する」とだけ答えました。
市民団体はこのほか、昨年7月に運転開始から30年を経過した川内原発1号機に関して、法で求められている高経年化技術評価の審査が終わらないうちに、再稼働を進めようとしていることや、原子力防災対策で、甲状腺の被ばくを低減するための安定ヨウ素剤が5〜30キロ圏の住民に対し、事前配布されない問題などを指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2015年6月30日より転載)