企業の輸出取引に保険をかけ、国が再保険を引き受ける貿易保険制度の改定案の質疑が6月17日の衆院経済産業委員会で行われ、日本共産党の藤野保史議員が質問に立ちました。改定案は業務にあたる独立行政法人日本貿易保険(NEXI)を特殊会社にし、NEXIの資金調達が困難となった場合、国民負担で補う「履行担保制度」を導入。貿易保険利用企業の8割は、資本金100億円以上の大企業です。
藤野議員は、NEXIが引き受けた原子力関連案件は2001年からの15年間で54件、1716億円に達し、1件あたり32億円で、主に部品だとしたうえで、原発システムの輸出は2兆円にのぼるものもあると指摘。「原発システム全体にバージョンアップするということか」とただしました。宮沢洋一経産相は「(原子力の)発電所全体で協力することも可能性としてある」と認めました。
また藤野氏は、現行法では再保険の限度額などが定められているが、改定案の「履行担保制度」には限度額の規定がないと追及。宮沢経産相は「必要なときは国会の議決対象ということで、国会の縛りがかかっている範囲でしかできない」と答弁。国会の議決があれば、税金でいくらでも手当てできることが明らかになりました。
藤野氏は、原発インフラ輸出を扱う大企業にとって、リスクを気にする必要がなくなり、「さらに自由度を高めるものになる」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2015年6月19日付けより転載)