東京電力福島第1原発事故による放射線で多大な被害を受けたにもかかわらず損害賠償が支払われていないとして、栃木県北部の住民7128人が6月15日、裁判外紛争解決手続き(ADR)機関の原子力損害賠償紛争解決センターに慰謝料などを求めて仲介申し立てを行いました。
弁護団によると、東電が住民への賠償を行っていない地域での集団申し立ては全国初。人数では福島県浪江町の約1万5000人に次ぐ規模といいます。
申し立てたのは、福島県に隣接する那須町と那須塩原市、大田原市の3市町に事故当時居住していた2266世帯7128人で、請求総額は18億5308万円。
福島県内の自主的避難等対象区域と同水準の賠償がなされるべきだとして、1人当たり子どもと妊婦は52万円、おとなは12万円の支払いを東電に請求。健康調査や除染を実施するための基金設立や放射能汚染への謝罪も求めました。
「栃木県北ADRを考える会」の西川峰城代表(65)は「(賠償を受けた)福島県と栃木県北の(放射能)汚染度にほとんど差はない。せめて賠償で県境の壁を突破したい」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2015年6月16日より転載)