日本共産党の藤野保史議員は6月10日の衆院経済産業委員会で、原子力規制委員会が定める原発事故発生時の避難計画の指針の問題点について質問しました。
原子力規制委員会は「原発から5キロ圏内は即時退避、5キロ~30キロ圏内は屋内退避」という指針を定めていますが、福島原発事故では、避難指示が出る前に大半の住民が逃げ始めた実態があります。屋内避難を見限って外に避難することを想定しながら、内部被ばくを予防する安定ヨウ素剤の事前備蓄もありません。
藤野氏は、福島原発事故では屋内退避をめぐって「“去るも地獄、残るも地獄”といえる状況をつくりだした」と指摘。「政府はこの指針を決める際に、病院や介護施設などの職員はいったいどこまで自分の命を守るのかという倫理的問題を検討したのか」と追及。福島の事故を経験した日本として、原発事故に対応できるルールが必要だと主張しました。
規制委の田中俊一委員長は「(住民に)なぜ屋内退避なのかをきちんと説明していく」と屋内退避に固執。藤野氏は、全国保険医団体連合会のアンケート結果をもとに、「現地には何の説明もしていないし、政府は現場から提起された大事な問題をまともに検討していない」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2015年6月12日より転載)