東京電力は5月29日、福島第1原発で、放射能汚染水を貯蔵するタンク周囲のせきにたまって汚染された水が、移送するホースから漏れたと発表しました。漏えいした汚染水は側溝から排水路へ流出したとみられ、東電はくみ上げて港湾に排水するといいます。
東電によると、29日午前10時10分ごろ、汚染水をためたタンクから3号機タービン建屋に移送中の耐圧ホースから漏水しているのを、関連企業の作業員が発見しました。このホースは側溝に敷設されており、側溝は排水路と結ばれています。
東電は、タンクのせき内にたまった水のうち、放射能濃度が比較的低いものは浄化処理した上で敷地内に散水していますが、濃度が高いものはいったんタンクにためた上で、高濃度汚染水がたまったタービン建屋へ移送しています。
汚染水が漏れた量や濃度は不明で、東電が調べています。
全ベータ濃度41倍に急上昇
東電は一方、排水路から採取した水の全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)濃度が、移送作業中に、1リットル当たり29ベクレル(27日採取)から同1200ベクレル(28日採取)と、41倍に急上昇したことを明らかにしました。
当該のタンクからの移送作業は27日から、漏えいを発見したために停止した29日午前にかけて断続的に実施。移送量は、27日に127トン、28日に86トンでした。29日分は調査中。
東電は、排水路での全ベータ濃度上昇とホースからの漏えいの関連について「否定できない」としています。
(「しんぶん赤旗」2015年5月30日より転載)