原子力規制委員会は5月20日、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働の前提となる原発の規制基準に「適合」したとする「審査書案」を了承し、30日間の意見募集を行うことを決めました。地元などから、事故時の住民避難が審査の対象外など問題が山積したままであり、「審査書案は住民の安全を保証しない」と撤回を求める声が上がっています。
昨年7月の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)、同12月の関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)に次いで3件目。
伊方原発の敷地前の北側には東西に走る日本有数の活断層群「中央構造線断層帯」が位置し、南にはマグニチュード9クラスの巨大地震が想定される南海トラフがあります。
伊方原発は、細長い佐田岬半島の付け根に位置し、ひとたび事故が起これば、原発の西側に住む約5000人の住民が孤立する恐れが指摘されています。しかし、規制基準の審査は避難計画を審査の対象とせず自治体任せです。
四国電力は、考慮すべき地震の揺れ(基準地震動)を650ガル(ガルは加速度の単位)に、津波の高さを約8・1メートルに設定。過酷事故が起きた場合、最短19分で炉心が溶融し、1・5時間後に原子炉圧力容器が破損するとしています。
規制委は、意見募集後、審査書を確定しますが、審査は他に工事計画、保安規定の認可が必要。また、運転前に使用前点検が行われます。
(「しんぶん赤旗」2015年5月21日より転載)