福井県原子力安全専門委員会は5月7日、会合を開き、県内原発の東京電力福島第1原発事故をふまえた「安全性向上」対策や新規制基準適合性審査の状況などについて関西電力と原子力規制庁から説明を受け、審議しました。
委員からは、地震規模からかけ離れた国内最大の地震動が観測された岩手宮城内陸地震(2008年)にもふれて、関電高浜原発3、4号機(同県高浜町)の基準地震動策定の不十分さを指摘する発言がありました。
これに対し、規制庁、関電、中川英之委員長が異口同音に発言し、問題の観測事例が高浜原発の硬い地盤とは異なる軟らかい地盤によるものとして、「同じレベルで比較するのは学問的ではない」などとのべました。指摘した委員は「マグニチュード(地震規模)だけでは判断できないから、もっと慎重に(策定)すべきだ」と反論しました。
意図的な航空機衝突などテロリズムへの対策の不十分さも問題となりました。新規制基準の対策では①原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に可搬型の設備や電源車を分散配置する②原子炉建屋への電源や注水などの接続口を複数の場所に設ける、の2点にとどまります。
委員からは「これでテロリズムへの新たな対策というのは、おこがましい」と厳しい批判があがりました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月9日より転載)