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高浜原発差し止め・・度重なる司法の判断に従え

 関西電力が再稼働を進めている高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、福井地方裁判所が再稼働を差し止める仮処分決定を行いました。3、4号機は原子力規制委員会の審査で「適合」とされていますが、地裁は安全性が確保できないと判断しました。再稼働を急ぐ関西電力はもちろん、審査にあたってきた原子力規制委の姿勢をも、厳しく問う決定です。関西電力はただちに再稼働の動きを断念するとともに、原発再稼働を狙っている全国の電力会社や、規制委が認めた原発は再稼働させるとしてきた安倍晋三政権も司法の判断を重く受け止めるべきです。

仮処分決定の重大な重み

 高浜原発3、4号機は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続いて、原子力規制委が4年前の東京電力福島原発の事故後策定した「基準」にもとづいて審査を行い、電力業界や安倍政権が「再再稼働第1号」にもと狙っている原発です。仮処分申請は事態が差し迫っている場合にだされるものであり、福井地裁の再稼働差し止めの仮処分決定は極めて重いものがあります。

 福井地裁は昨年5月、同じ福井県内の関西電力大飯原発3、4号機について、安全性が確保されていないと運転を認めない判決を言い渡しています。東電福島原発の事故が示したように、原発事故は人命や身体、生活基盤に重大な被害を及ぼすものであり、国民の「人格権」が侵害される場合はその侵害行為の差し止めを求めるのは当然だと断言したのは、文字通り司法の見識を示したものです。

 当時、大飯原発も高浜原発も原子力規制委の審査を終えておらず、今回とは別の高浜原発再稼働差し止めの申請に対し、大津地裁は昨年11月再稼働は差し迫っていないと仮処分を認めませんでした。今回の仮処分申請はその後原子力規制委の審査が進み、今年2月「適合」と認めるなかで出されたものであり、福井地裁が仮処分の緊急性を認めたのは画期的です。仮処分決定が取り消されない限り、高浜原発は再稼働できません。

 福井地裁が今回の仮処分決定で「原発の新規制基準は緩やかに過ぎ、適合しても安全性は確保されていない。新基準は合理性を欠く」と指摘したのは重要です。規制委が「適合」と判断した高浜原発の場合も、起こりうる地震の想定などが低すぎ、安全性を確保できていないことが指摘されてきました。高浜原発の前に「適合」と判断された川内原発も、火山の噴火などへの対応が不十分だと批判されています。もともと原子力規制委の基準は、放射性物質が外部に漏れ出す重大事故を想定しながら、住民の避難計画は審査対象外とするなど欠陥だらけです。原子力規制委も安倍政権も、地裁の指摘を真剣に受け止めるべきです。

再稼働中止は国民の意思

 最も新しいNHKの世論調査は、原子力規制委が認めた原発は再稼働を進めるという安倍政権の方針に、「賛成」は22%だけで、「反対」が47%と2倍以上にのぼっています(「どちらともいえない」が25%)。原発の再稼働を差し止めた司法の判断は、圧倒的多数の国民世論と合致したものです。

 電力業界も安倍政権もただちに再稼働を断念すべきです。いっせい地方選挙などを通じ国民の意思を示すことがいよいよ重要です。

(「しんぶん赤旗」2015年4月15日より転載)

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