福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民らが9月9日、国と東京電力に財産の賠償や慰謝料を求め福岡地裁に「福島原発事故被害救済九州訴訟」を起こしました。弁護団によると避難者の集団訴訟は全国17地裁で18訴訟がたたかわれていますが九州での提訴は初めて。
提訴したのは、福島県の避難区域外とされた地域や東北・関東地方から九州各地に避難してきた10世帯31人。
訴状では、事故を引き起こした国と東京電力の責任を指摘。やむを得ず避難している被害者に十分な賠償・支援をせず、避難区域など不当な線引きを行い区域外の被害者は放置しているとして、1人あたり550万円、総額1億7050万円の賠償を求めています。
吉村敏幸弁護団長は、避難者を忘れず、国と東京電力から完全な賠償を求める訴訟だと、その意義を強調。避難者を早期に救済するため「全国の弁護団、原告と共同してたたかっていく」と述べました。
福島県いわき市から佐賀県に家族と避難する男性(53)は「事故後、生活は全く変わってしまった。福島県外の避難者は何の補償も受けられずもっと大変な状況。裁判を通じて救いの手が差し伸べられることを期待している」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2014年9月10日より転載)