東京電力福島第1原発から放射性物質が海に流出している問題で、今年5月までの10カ月間(2013年8月〜2014年5月)に第1原発の港湾内に出たストロンチウム90とセシウム137が計約2兆ベクレルに上る可能性が高いことが9月7日、東電の資料などで分かりました。
二つの放射性物質だけで、第1原発の事故前の放出管理目標値の10倍を超えます。事故に伴う深刻な海洋汚染が続いていることが浮き彫りとなりました。
第1原発では、汚染された地下水が海に流出しているほか、高濃度汚染水がたまった建屋のトレンチ(ケーブルなどの地下管路)から直接港湾内に漏れている可能性も指摘されています。
東電の資料によると、昨年8月から今年5月にかけ、港湾内の1〜4号機取水口北側で測定したストロンチウム90とセシウム137の平均濃度を基に試算した1日当たりの流出量は、約48億ベクレルと約20億ベクレ。10カ月間の総流出量はそれぞれ約1兆4600億ベクレと約6100億ベクレの計算になる。
合わせると2兆ベクレを超えますが、汚染水には他の放射性物質も含まれており、港湾内の汚染はより深刻とみられます。
東電は昨年8月、事故から2カ月近くたった2011年5月以降に港湾内へ流出したストロンチウム90とセシウム137の総量推計を公表。それぞれ最大で10兆ベクレと20兆ベクレに上ると見積もりました。
その後、今年5月までの10カ月間は放射性物質濃度の平均値が下がっているため、流出量は減少している計算になるといいます。ただ、潮の満ち引きなどで港湾内の放射性物質が外洋に拡散しているほか、汚染地下水の一部は直接外洋に出ている可能性も指摘されています。
(「しんぶん赤旗」2014年9月9日付けより転載)