南極周辺の海面上昇は地球全体の平均の海面上昇を上回る—。英サウサンプトン大学の研究グループが人工衛星の観測データを解析した結果わかったと、科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』(8月31日付)に発表しました。
研究グループは、最近19年間の南極と南極周辺100万平方キロにわたる領域の衛星画像を解析しました。その結果、この間の地球全体の海面上昇が約6センチだったのに対し、南極周辺の海面はそれより2センチ余計に上昇していたことがわかったといいます。
南極周辺の海面上昇が、地球全体の海面上昇を上回っていることについて、研究グループは南極の氷床などの融解で周辺の海に真水が供給されているためと推測しています。真水は塩水より密度が小さく、同じ重さでも体積が増すからです。
南極周辺の海面が地球全体の海面より2センチ高くなっていることにもとづいて、研究グループが行ったコンピューターシミュレーションでは、氷床の融解で約3500億トンの真水が周辺の海に供給されたことになるといいます。
(「しんぶん赤旗」2014年9月2日より転載)