東電の勝俣恒久元会長が福島第1原発事故の3年前に、「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいる」と参加者から発言があった会議に出席していたことが、7月31日に公表された東京第5検察審査会の議決で明らかになりました。
議決によると、勝俣氏が出席したのは、2008年2月に開かれた「中越沖地震対応打合せ」。勝俣氏は当時社長。07年7月に起きた中越沖地震による柏崎刈羽原発の運転停止を受けて経営判断を行う目的で開かれた会議で、福島第1原発の津波想定を7・7メートル以上に変更し、さらに大きくなる可能性が記載された資料が配布されました。
その際、参加者から「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいて、前提条件となる津波をどう考えるか、そこから整理する必要がある」との発言もありました。
東電が15・7メートルという津波の試算結果を得たのは「打合せ」の1ヵ月後の2008年3月です。
福島第1原発を襲った津波について東電は、約15・5メートルと発表しています。
勝俣氏について議決は「従来の想定を大きく超える津波が襲来する可能性に関する報告に接していると考えられ、・・襲来した場合の影響についても知りうる立場・状況にあった」と指摘。東電の最高責任者として「適切な対応策を取らせることも可能な地位にあった」と認定し、業務上致死傷罪で「起訴相当」と結論づけました。
勝俣氏は国会事故調の参考人聴取の際、想定を超える津波に関する社内の検討ついて、「私のところまで来ていなかった」などと話していました。
(「しんぶん赤旗」2014年8月2日より転載)