九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について、原子力規制委員会が新規制基準に「適合した」とする審査書案を了承したことに、地元などから怒りの声が上かっています。
大噴火の危険解決なく・・かごしま反原発連合有志副代表 松元成一さん(59)
国も九電も県知事も市長も、誰もどこにどう避難すればいいかを示せず避難計画も立てられない。いつ大地震や姶良(あいら)カルデラの大噴火が起こるか分からない。こんなに問題だらけで、何一つ解決していない状態で、拙速に審査書案を了承した原子力規制委員会の暴挙は許せません。
かごしま反原発連合有志は県庁前などで、リレー・トークやシール投票などに取り組んできました。高校生など若い人の反応も良く、再稼働反対・原発ゼロの声の高まりを感じています。こうした多くの声を無視して再稼働を進めるなんて、住民の命をどう考えているのでしょうか。審査基準で安全は確保できません。危険な原発は廃炉にするべきです。
今後、パブリックコメントに集中的に意見を出し、住民説明会でも、徹底的に追及して納得する回答が出るまで絶対に引きません。運動を全国に広げ最後まであきらめません。
権力者の都合いい基準・・福井大学名誉教授 山本富士夫さん(73)
規制基準に適合したとされても、安全が保障されたわけではないことは、原子力規制委員会の田中俊一委員長自ら認めている通りです。権力者の都合のいい基準を満足したというにすぎません。
規制基準は、原発にも、危険と利益のバランスがとれるとするリスク(危険)&ベネフィット(利益)の考え方に立っています。しかし、こうした考え方が間違いであることを示したのが福島第1原発事故です。福井地裁判決は事故をふまえ、原発のような経済活動の自由は「憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれる」とし、人格権が広範に奪われる「具体的危険性が万が一にでもあれば、その差し止めが認められる」と断じました。規制委の今回の判断は、この判決をまったくふまえておらず、これでは国民の命・暮らしは守れません。福井では、全国と連帯して、この判決を維持するとともに、再稼働を許さない県民署名運動をスタートさせます。私は、この運動を呼びかけた一人として全力で頑張る決意です。
「しんぶん赤旗」2014年7月17日付けより転載