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住民の命守れない「避難計画」、火山活動・地震 予測できず・・川内原発 廃炉しかない

 

川内原発=鹿児島県薩摩川内市
川内原発=鹿児島県薩摩川内市

 安倍政権が全国の原発再稼働の「突破口」に狙う、鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内(せんだい)原発。過酷事故の危険があり、まともな避難計画もないまま再稼働しようとしていることに県民の不安や怒りが広がっています。

(中川亮)

 

 「原発事故が起きて、故郷の大熊町を追われました。どんな地震、火山活動が起こるか、予測不可能です。将来の子どもたちのためにも絶対に再稼働させてはいけません」─。鹿児島県議会開会日の6月13日、川内原発の再稼働に反対して全国から1000人以上が結集した県庁前集会で、福島県会津若松市に避難する女性が切々と訴えました。

 

活断層存在も

 川内原発をめぐっては、九電が約3万年前の大噴火で原発敷地内に火砕流が到達した可能性を認めたほか、原子炉の近くに活断層の存在も疑われています。

 九電の活断層評価は、政府の地震調査委員会の指摘を受けて見直された結果、地震エネルギーが同社想定の11倍に増大。九電は「耐震設計の基本方針に変更はない」として耐震補強工事をしていません。超巨大噴火の危険も「予知できない」(火山噴火予知連絡会)とされています。

 そのうえ国は、避難計画の策定を自治体に丸投げ。原子力規制委員会も計画の実効性を検証せず再稼働の要件とはしていません。

 国の支援もほとんどないまま、川内原発周辺の9市町は、事故時に約21万5千人の住民を30キロ圏外へ移動させる「暫定」避難計画をつくりました。避難の長期化に伴う食料・日用品の不足や、いっせい避難による混雑への対応など課題が山積し、各自治体は「計画を随時見直す」としています。高齢者など災害弱者とされる「要援護者」の避難計画の策定は、対象244施設の1割にも達せず、置き去りです。

 伊藤祐一郎知事は「要援護者の避難計画は10キロ(圏内)で十分。30キロは現実的ではなく不可能」(6月13日)と断言。10〜30キロ圏には227の対象施設があるものの、県保健医療福祉課は「10キロ以遠の策定は国の対応を踏まえて検討する」と見通しが立てられません。

 全域が30キロ圏に入る、いちき串木野市の市民団体「避難計画を考える緊急署名の会」の石神斉也(まさなり)代表は「知事の本音が出た。計画ができないなら、原発が“避難”するべきだ」と廃炉を求めます。

 薩摩川内市の年金暮らしの女性(74)は、右ひざに関節炎を患い、歩行器がなければ移動できません。「夫の車で避難するつもりですが、突然、事故が起きたら、渋滞も発生して、無事に脱出できるかわからない」と困惑の表情を見せます。

何もかも失う

 「さよなら原発いのちの会」が同市で行った住民アンケート(6月17日時点)には1000を超える回答があり、85%が再稼働に「反対」。「(避難計画を)説明されても不安だらけ。再稼働しなければ一番良い」「万が一(事故)があれば川内は何もかも失う」と不安が寄せられました。会代表の堀切時子さん(66)は訴えます。

 「福島の悲劇を経験して、原発をなくしてほしいというのが国民の願いです。国や県、電力会社にこの思いを突きつけていきたい」

(「しんぶん赤旗」2014年7月4日より転載)

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