九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを求めている「原発なくそう!九州川内訴訟」の原告は5月30日、九電の基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)の想定が不十分で「拙速な再稼働に至る」可能性が高いとして、九電を相手取り、再稼働差し止めの仮処分を鹿児島地裁に申し立てました。
仮処分申請したのは、原告のうち鹿児島、熊本、宮崎3県の住民23人。早期の仮処分決定をめざし争点を地震動の問題にしぼりました。
申立書では、川内原発に関して九電の基準地震動の620ガルについて、想定のもとになった2004年の北海道留萌支庁南部地震を考慮しても「極めて過小」な評価であると指摘。「深刻な危険をかかえた川内原発の稼働を許すことは絶対にできない」としています。
森雅美弁護団長は会見で「原子力規制委員会の審査は、最大限の地震を想定していない。基準地震動の想定が非常に低い」と強調。内山成樹弁護士は「(詳細なデータを取り始めて)わずか17年しかない中で最大限の地震動を想定するのは不可能だ」と述べました。
申立人の男性(66)=鹿児島市在住=は、大飯原発差し止め判決にふれ、「経済的な潤いより人命を優先するのは当たり前だ。原発と人類は共存できない」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2014年5月31日より転載)