日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 原発事故 国に責任/ふくしま復興支援フォーラム

原発事故 国に責任/ふくしま復興支援フォーラム

 東京電力福島第1原発事故とシビアアクシデント(過酷事故)対策をテーマに、「ふくしま復興支援フォーラム」が19日夜、オンラインで開かれました。長谷川公一・盛岡大学学長(環境社会学)が講演し、2011年3月の事故の前に米国の原子力規制委員会(NRC)から過酷事故対策の必要性に関する情報提供を受けていながら対策を怠ったために事故を防げなかったとして、日本の組織の構造的な問題と国の責任について問題提起しました。

 長谷川さんは、国策として原発が推進され、原子力安全規制の不備があったにもかかわらず、国の法的責任を認めなかった22年の最高裁判決以降、国の原子力政策が原発活用に大きく動いたと指摘。国の責任を問うには、公務員による具体的で決定的な過失を特定することが必要だと強調しました。

 長谷川さんは、01年に米国で発生した同時多発テロを受けてNRCが米国内の全原発を対象に発令した措置命令について紹介しました。とりわけ、原因を問わずに爆発や火災による施設損失のもとでも炉心冷却、放射性物質の閉じ込め、使用済み核燃料プールの冷却を維持・復旧するための手順や方策を開発し実装することを求めた要求項目(B5b)に注目。そうした情報を日本の原子力安全・保安院(当時)の担当者が知りながら、事業者に対策を求めなかったことが福島第1原発事故につながった可能性を指摘しました。背景には日本の官僚組織の無責任さがあったとして「きわめて悪質なことだった」と批判しました。

(「しんぶん赤旗」2025年12月21日より転載)