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原潜保有が生む危険に警鐘 市民団体が院内集会/重大事故・放射性廃棄物の処分・巨額調達コスト…

原子力潜水艦の保有問題に関する院内集会で発言する専門家ら=9日、国会内

 高市早苗政権が原子力潜水艦の導入に前向きな姿勢を示しているのを受け、「日本の原潜保有問題を考える院内集会」が9日、国会内で開かれました。原子力や核兵器の専門家が、原潜保有による事故の危険性やコストなどについて意見を交わしました。主催は「核兵器をなくす日本キャンペーン」、「原子力資料情報室」、「ピースボート」。

 原子力資料情報室の松久保肇事務局長は、原子力基本法について歴代政権は「(原子力を)自衛艦の推進力として使用されることも現状認められない」などの見解を示しており、「原潜保有は原子力基本法違反となる」と指摘。調達コストについて現在の潜水艦(通常動力)が一千数百億円規模なのに対し、原潜は1兆円を上回ると強調しました。原潜保有国でも原潜から出た放射性廃棄物を地中に埋めており「日本に置く場所があるのか大きな問題だ」と述べました。

 「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」の呉東正彦弁護士は、米国の原子力艦船で放射能汚染水漏れや作業員の被ばくなど重大事故を日常的に起こしていると指摘。「自衛隊が原潜を保有すれば、米軍と違い日本国内で放射能漏れの危険がある修理を行う必要がある。事故が起きれば首都圏に広範な被害が出る恐れがある」と警鐘を鳴らしました。

 韓国の市民団体「参与連帯・平和軍縮センター」のイ・ヨンアさんがメッセージを寄せ、韓国の原潜保有計画について「多くの専門家が朝鮮半島周辺の浅い海や狭い環境では原潜が不要だと指摘している。原潜保有は韓国海軍が米国の対中戦略に組み込まれ、米中対立に巻き込まれる」と強調。「日本が原潜のような攻撃的戦略兵器を取得することは周辺国に攻撃意図のシグナルを送り、軍拡競争を悪化させるリスクがある」と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2025年12月10日より転載)