東京電力福島第1原発の廃炉までの計画を監視・評価する原子力規制委員会の専門家会合が4月19日開かれました。同原発で地下貯水槽から高濃度の放射能汚染水が漏出している問題で、東電などが汚染水が地下貯水槽から海に流出するまでの移動時間の推計結果を示しました。周辺の環境に与える影響の深刻さがあらためて浮き彫りになりました。
東電は海まで10~100年かかると計算。独立行政法人の日本原子力研究開発機構(JAEA)はストロンチウム90の場合、30~110年程度で海に出て、放射性物質の濃度は国の法令限度を超えるとする推計を示しました。
専門家からは「10~100年も(土壌や地下水が)汚染することになるなら、早く汚染土壌を取り出す可能性を考えた方がいいのでは」と意見が出たほか、「漏出した汚染水の影響を減らす対策が示されていないのは、違和感がある」と疑問も出されました。
また東電は、貯水槽の水位が低下しても漏れが止まらないため「貯水槽の底部に近い場所で漏れが発生している可能性がある」と認めました。しかし、原因を特定するのにどれだけ時間がかかるのかはわからないと説明しました。
専門家は「一企業で対応できているとは思わない。国の責任で処理してほしい」と指摘しました。