全国で唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機について、原子力規制委員会は4月19日、原発の新規制基準案への適合性を評価する検討会の初会合を開きました。関電は18日に提出した報告書で、同原発周辺の三つの活断層が連動して起こす地震を考慮していませんが、島崎邦彦委員長代理は、連動を前提とした評価を行うよう求めました。
大飯原発3、4号機では、新規制基準案で求められている緊急時対策所(免震重要棟)などがまだできていません。しかし、関電の報告書は、大飯原発3、4号機は新規制基準案に適合していると主張しています。この日の会合では、関電が新規制基準案への対応状況を説明。今後、地震・津波と設備等に分かれて評価会合を進めていくことなどを決めました。
地震津波対策では関電が、周辺海底にある二つの断層と、陸上の熊川断層の3連動を想定しないまま、基準地震動(地震により想定される最大の揺れ)の加速度を700ガルと評価しています。島崎委員長代理は、連動性を示唆する最近の報告などを踏まえて、「念のためではない、3連動があるということを前提とした計算をしてほしい」と指摘しました。
関電は、旧原子力安全・保安院に対し、「念のため」として3連動した場合の地震動を評価し、基準地震動を上回ると報告していました。
また、関電の報告では新規制基準案で新たに要求されている敷地とその周辺の地下構造の立体的把握について、関電側は、「硬質岩盤が確認できているため」、として従来と同等の評価を踏襲しました。
委員からは、シビアアクシデント対策などについて追加の資料提出を求められました。
検討会では6月下旬をめどに結果をとりまとめます。「安全上重大な問題があると認める場合」には停止を求める可能性があるとしていますが具体的な基準は示されていません。