【アブダビ=時事】安倍晋三首相は5月1日夜(日本時間2日未明)、アブダビでアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のムハンマド皇太子と会談し、日本とUAEの間で原子力協定を締結することで合意しました。
会談ではまた、外交・防衛当局の事務レベルによる安全保障対話を始めることで一致しました。安保対話は、首相がUAEの前に訪れたサウジアラビアとも合意済みで、シーレーン(海上交通路)防衛などについて連携を強める狙いがあります。
首相は、UAEとの人的交流を深めるため、①アブダビ日本人学校へのUAE
児童の受け入れを倍増②UAEから日本への留学生を5年で500人に拡大・・することなどを表明しました。首相は皇太子の訪日も招請しました。
中東外交・・首相スピーチ要旨
【ジッダ=時事】安倍晋三首相が1日行った中東外交スピーチ「共生・共栄・協働がつくる新時代の日本・中東関係」の要旨は次の通り。
日本とサウジアラビア、日本と中東との全く新しい関係、今までと異なる次元の結びつきをつくりたい。石油・ガスを超えた経済・産業全般に及ぶ結びつきを強めていく。
日本は再生可能エネルギーや世界一安全な原子力発電の技術を提供できる。中東と日本は利害と関心をともにするパートナーだ。
日本と中東は政治、安全保障の関係を日に日に強くしていく。わが国は独立国家樹立に向けたパレスチナ人の民族自決権を支持している。パレスチナとイスラエルの両当事者には、一刻も早く直接交渉を始め、和平に向けた努力を倍加する責任がある。
シリアで進む惨劇やイランの核問題にも目をつぶることはできない。安定と繁
栄を享受する成長の舞台を当地にもたらさなくてはならない。
サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ各国と安全保障に関わる対話を進めるよう提案する。日本は中東各国との間で、首脳同士あるいは安全保障のハイレベルの当局者同士で不断の協働を図る。中東から北アフリカにまたがる地域で、安定と平和を根付かせる一助とするために、22億ドル規模の支援を行う。
サウジアラビア、UAEを手始めに「コストシェア技術協力」という新機軸を始める。経験豊かな国際協力機構(JICA)の専門家を、各国にもコストを負担してもらって受け入れてもらう。イスラムの寛容の精神に日本の技術者は多くを教わるだろう。
向こう5年で約2万人の研修実施と専門家派遣を行う。UAEから日本への留学生を500人に増やす。資源を超えて経済全般の関係を結び、共生と共栄を図る。アブダビで日本人学校の門戸を開放する。