「反省なき原発輸出行脚」「トップセールス歓迎メーカー」−。5月4日付各紙にこんな見出しが躍りました。
○…安倍晋三首相は、3日までの中東歴訪で、日本の原発を各国に売り込んで歩きました。トルコとアラブ首長国連邦で、原発輸出に必要な原子力協定の署名で合意。サウジアラビアでも、協定締結交渉に入る方針を確認しました。トルコでは、三菱重工業とアレバ(フランス)の合弁企業の原発受注を確実にする協定も結びました。
○…中東訪問には、三菱重工の宮永俊一社長らが同行していました。3日、アンカラで開かれた会合で、首相は居並ぶ両国の企業関係者を前に、「トルコとの間には絶好のシナジー(相乗効果)が生まれるに違いない。原発はその最たるものだ」と、トップセールスを自賛しました。
○…見逃せないのは、1日、サウジアラビアの大学で、「世界一安全な原発技術を提供できる」と講演していることです。ネズミ1匹に翻弄(ほんろう)され、事故の原因すらわからず、汚染水の持って行き場のない東電福島第1原発の現状から、よくも「世界一安全」などといえたものです。3日夜の官邸前行動では、「事故は収束していないのに原発輸出なんてとんでもない」の声が響きました。(忠)