東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県東通村)敷地内の破砕帯(断層)が活断層である可能性が高いと指摘されている問題で、原子力規制委員会の専門家の調査チームは5月17日、「耐震設計上考慮すべき活断層である」とする新たな評価書案を示しました。この日で4度目となる東北電力に対する聞き取りの場で同社は、活断層ではないとの主張を繰り返しました。
調査チームは今後、他の専門家の意見を聞き、規制委に提出する最終的な評価書をまとめます。
評価書案は、敷地内の「F−3」「F−9」などの破砕帯を中心に評価。現行の国の指針で活断層と判断される後期更新世(12万?13万年前)以降に活動した断層の可能性が否定できないとしています。東北電力が、地層のずれの原因は地下鉱物が水を吸って膨らんだとする「膨潤説」を主張していることに対し、「合理的ではない」と退けています。
また、原子炉建屋の下や非常用取水路の下を通る断層については、今後の東北電力の調査に基づいて判断するとしています。
聞き取りで東北電力は「F−3」などの破砕帯が断層運動によるものではないと主張しましたが、専門家からは「精度のあるデータではなく、議論できない」「データが示されず観念的」など批判的な意見が相次ぎました。