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安倍氏の原発活用・・大事故も国民世論も忘れたか/「原発輸出」の翼賛政党

安倍晋三政権が売り物にする「成長戦略」で「原子力発電の活用」を打ち出し、停止中の原発の再稼働や原発の輸出を推進しています。その折も折、安倍政権が先週閣議決定して発表した「エネルギー白書」で、民主党政権時の「2030年代原発稼働ゼロ」の方針にはふれず、とくにその前提になった国民の圧倒的多数が「原発ゼロ」を支持していた事実はいっさい無視していることが明らかになりました。安倍政権は、いまだ収束のめどさえ立たない東京電力福島第1原発の大事故も、原発からの撤退を求めた国民の世論もまったく眼中にないのか。

世論をないがしろに

原子炉の破壊で大量の放射性物質が拡散した東電福島事故では、いまだに事故のくわしい経過も、破壊された原子炉のなかがどうなっているかもわからず、15万人以上の福島県民がなお避難生活を送らなければならない深刻な状態です。そうしたなかで「原発の活用」をいいだした安倍政権の態度が、なによりも被災者の心を逆なでしていることは明らかです。

民主党政権最後の野田佳彦政権が昨年「エネルギー・環境戦略」で持ち出した「2030年代原発稼働ゼロ」の目標は、原発から直ちに撤退するよう求めた国民世論に照らせば、まったく不十分なものです。しかし、事故が起きるまで原発の新増設や輸出を推進していた民主党政権がその見直しに乗り出さざるをえなかったのも、いったん起きれば取り返しのつかない被害をもたらす、原発事故の悲惨さに直面したためです。

事故を受け、原発からの撤退を求めた国民世論は明らかです。民主党政権は「エネルギー・環境戦略」策定のさい、原発依存度について「ゼロ」「15%」「20~25%」の三つを示し、「国民的議論」と称して意見聴取会や世論調査をおこないました。意見聴取会では7~9割が「ゼロ」を支持し、討論型世論調査では討論を終えたあとで「ゼロ」支持が上昇し5割近くに達しました。野田政権の報告書も「少なくとも過半の国民は、原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有している」と明記せざるをえなかったのです。

こうした国民の世論は、自公政権が復活したからとはいえ、突然消えてしまうものではありません。安倍政権の「エネルギー白書」が「原発ゼロ」の政策にふれず、世論調査の結果をまったく無視しているのは、まさに国民の世論をないがしろにするものです。一方で「白書」は、安倍政権がエネルギー政策を「ゼロベース」から見直し、産業競争力会議で「原発の活用」を検討していることを詳述しています。安倍政権が原発事故の被害も国民世論も無視して、原発推進の政策へ暴走していることは明らかです。

暴走は支持されない

マスメディアの調査では最近も、経済成長のために原発を活用することに「反対」が59%(「朝日」11日付)、原発輸出を「支持しない」が58%(時事通信15日配信)など、「原発の活用」に反対する国民の世論が鮮明です。安倍政権の暴走は国民世論に逆行しています。

安倍政権は停止中の原発の再稼働を急ぐとともに、首相自ら外国に出かけ原発セールスに懸命です。国民世論を無視する暴走には、国民のきびしい審判が不可欠です。

「原発輸出」の翼賛政党

5月上旬にアラブ首長国連邦(UAE)とトルコ両国を訪問、日本の原発を売り込んだ安倍晋三首相が、東欧4カ国にも「トップセールス」しました。

首相は「原発事故を起こした日本こそ、世界一安全な原発を提供できる」などといっていますが、こんな恥ずかしいことはありません。事故の原因もわからず、「収束」もほど遠いのに、原子炉メーカーなど「原発利益共同体」の意向にそって、原発輸出で大もうけを企てるのは、無責任そのものです。

安倍政権は、原発輸出、再稼働に前のめり。連立与党の公明党は参院選公約で、昨年の総選挙で掲げた「原発ゼロを目指す」との表現を削る方針を固めました。石井啓一政調会長は6月13日のBS番組で、原発輸出について、「日本の安全文化を移転していくのは国際貢献の一つのあり方だ」などと前向きな考えを示しています。

「2030年代に原発稼働ゼロ」との公約を掲げていた民主党ですが、電力会社の労組出身議員をはじめ、再稼働に積極的です。小林正夫参院議員は、5月13日の予算委員会で、「(原発の)トップセールス外交を進めていくのか」と首相にハッパをかけ、「継続して進めていく」との答弁を引き出しました。「原発輸出」の翼賛ぶりは重大です。
(忠)

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