【ジュネーブ=時事】14日付のスイス日曜紙ルマタンは、首都ベルンに近いビール湖の堆積物から放射性物質のセシウム137が検出されたと報じました。湖に流れ込む川の上流にミューレベルク原発があり、2000年から原発の排水に含まれ、湖底に沈殿した可能性があるといいます。
湖水は飲料水にも使われていますが、専門家は人体に影響はないとみています。ただ環境保護団体や一部政治家は、10年以上前から放射性物質が垂れ流されていた実態を当局がこれまで公表しなかったことに反発しています。
同紙によれば、セシウムはジュネーブ大の地質学者らが10年に実施した湖の堆積物調査で検出しました。ミューレベルク原発は微量の放射性物質を含む排水を行うことが認められており、定期的に厳しいチェックを受けているといいます。
同原発は事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉で1972年に稼働。連邦行政裁判所は12年、安全性を問題視した団体の訴えを受け入れ運用停止を命じましたが、最高裁が13年3月に一転して稼働継続を認める判断を下しました。