東京電力福島第1原発は、増える一方の放射能汚染水を安全に管理できない深刻な事態になっています。溶けた核燃料の冷却水、原子炉建屋内に流れ込む地下水は日々、汚染水として増大し、タンクが次つぎと満杯になっていきます。汚染された地下水の海洋流出、汚染水タンクからの大量漏出もあり、事態は悪化の一途をたどっています。本紙チャーター機から「非常事態」の現場をみました。
①タンクが林立
建設中のタンクが見えます。右下の黒いタンクは溶接タイプ。左上には、漏れたタンクと同型の、鋼鉄の板をボルトで連結するタンクが組み立て中です。構造上の問題も指摘されながら、東電は施工期間が短いからと造り続けています。
②出口は外洋に
漏れたタンクそばの排水溝の出口あたる場所。直接、外洋につながっています。先日、排水溝の下流地点で採った水の放射性物質の濃度が上昇していました。上空から見た日、敷地内から外洋へ、幾筋もの流れが見えます。
③海側に遮水壁
海洋への汚染水拡大を防止するため、東電が建設中の海側遮水壁が見えます。遮氷壁は護岸の先を埋め立て、鋼管矢板を打設して並べた構造です。完成予定は来年半ば。
④がれき撤去中断
海側から見た、高く伸びる排気筒をはさんで右が、3号機原子炉建屋で、上部のがれきを撤去中でしたが、中断しています。左の4号機原子炉建屋は、使用済み燃料の取り出しを秋から始めるため、構造物で覆われています。
上空から見た東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)。高濃度の放射性物質を含んだ汚染水を保管する約1000基のタンク群が敷地内を埋めるように林立しています。
1日に増える汚染水の量は400トン。一番大きなタンク(容量約1000トン)も2日半で満杯です。