東京電力福島第1原発の汚染水が深刻な事態になっているのに、「状況はコントロールされている」などといって、原発再稼働を急ぐ安倍晋三首相。9月13日、首都圏反原発連合(反原連)が首相官邸前で原発に反対する抗議行動を行い、全国各地で抗議の声があがりました。
「毒水とめよ」「安倍さん! 汚染水処理の公約を世界が見ています」などのプラカードが目立った首相官邸前。3000人の参加者(主催者発表)が「原発やめろ」とコールしました。反原連のミサオ・レッドウルフさんが「首相が汚染水のことであんなうそをつくなんて国民として恥ずかしい。原発は1基たりとも再稼働させない」と訴えました。
福島県二本松市の男性(75)は「汚染水をブロックできているなんで大ボラだ。福島県民は誰も信じていません。コントロールできているというなら、やってほしい」といいます。「NO! 原発」と書いたそろいのシャツを着て6人の仲間と参加したさいたま市の女性(66)は「海に流れた汚染水をブロックするなんて本当にできるのか。首相は世界の人に約束したのだから責任をもってほしい。確実に廃炉にむかうよう声をあげ続けます」。
東京都墨田区から参加した男性(38)は「首相は、うそで安全だといいはるのではなく、安全を実現するために原発再稼働はやめ、汚染水対策に全力を注いでほしい」と語りました。
日本共産党の小池晃副委員長(参院議員)、吉良よし子参院議員もスピーチしました。
大飯止まる 原発ゼロに・・汚染水解決、まったなし
小池・吉良 両氏スピーチ
9月13日におこなわれた首相官邸前抗議行動。国内で唯一稼働している関西電力大飯原発4号機(福井県)が15日に検査のために停止するため、「原発ゼロだ」「もう動かすな」のコールが響きました。参加者は、「汚染水問題を東電任せにするな」「福島の状況がコントロールされているなんて、どういう根拠なのか」「福島の事故収束や賠償を最優先にしろ」と次つぎに訴えました。
日本共産党の小池晃副委員長(参院議員)と吉良よし子参院議員も参加してスピーチ。
汚染水問題について安倍首相が状況はコントロールされ、汚染水はブロックされていると発言したことに対して小池氏は、「日本ではうそをつける人が総理大臣になれると、世界に明らかにしてしまった」と厳しく批判。「国際公約として、この問題を解決する責任が政府にはある」と強調しました。
吉良氏は「福島原発がコントロールされているなんて、事実とまったく違う。福島の20代の青年は、見捨てられた気持ちだと話していた」と語り、「大飯が止まる。政府は再稼働の調査をしている場合ではないはずだ。汚染水対策と廃炉に英知を結集するときだ」と訴えました。
金曜行動各地で
秋田 さよなら原発アクション
秋田県の「さよなら原発県民アクション」は9月13日、秋田市中通の仲小路などをデモ行進。39人が参加しました。
参加者らは「全原発ハーイ一ロ」「コントロールもぞこぐな(寝言いうな)」などと声を合わせました。
大館市役所から“ハチ公小径”まで行進する「原発ゼロを求める金曜日大館行動」には、15人が参加しました。
岐阜 再稼働なんてとんでもない
岐阜県のJR岐阜駅前では31回目の原発ゼロ行動が行われました。
毎回参加している大橋とよみさん(51)は、「なくせ原発!自然エネルギーの転換を」と書かれた黄色ののぼりを持ってアピール。安倍首相の発言に、「あんなの、福島の人が聞いたらと思うと怒りです。ましてや再稼働なんてとんでもない」と語りました。
名古屋 関電支社前 怒りの声響く
「世界に向かってうそつくな!」「海にも空にもダダ漏れだ!」。名古屋市の関電東海支社前で市民の怒りの声が響きました。
いつもは京都で抗議しているという男性4人組みが立ち寄り、「やることがあさましいというか、『ふざけんな』としか言えないっすよね」。時々参加している男性教諭も「2020年までには収まりゃしないでしょ」とあきれていました。
京都 大飯を止めて そのまま廃炉
関西電力京都支店(京都市)前でのアピール行動には、約120人が参加。原発稼働ゼロを目前に「大飯を止めて、そのまま廃炉」と声をあげました。
「流すな 汚すな 誤魔化(ごまか)すな」と書いた手作りのボードを持参した川越義夫さん(76)は、安倍首相発言に、「よく得意満面でウソが言えると思う。海側に作る遮水壁で水の流れを止めたとしても敷地内はもっとひどい状態になるでしょう」とあきれていました。
岡山 「絶対再稼働させない」
原発ゼロをめざすイレブンアクション岡山実行委員会は、岡山市北区の中国電力岡山支社周辺で56回目のデモ行進、23人が参如しました。
最近、毎回参加している宗定和也さん(36)は「安倍首相は世界の人たちを前に、よくも大はったりがいえたものだ。恥知らずだ。原発は絶対再稼働させちゃいけない。15日に大飯原発も止まるけど、ちゃんと生活をしていけるのだから」と話しました。
汚染水問題解決早く 各地で行動
原発再稼働反対、即時原発ゼロを求める金曜日行動が13日も各地で行われました。
新潟
新潟市で、「なくそう原発新潟市民ネット」の57回目の行動が新潟駅近くの石宮公園で行われ、市街をデモ行進しました。
集会で参加者は「安倍首相は福島原発は完全にコントロールされていると言ったが大ウソつきだ。こんな首相は情けない」「再稼働を申請した原発の周りの市町村で避難計画がほとんど策定されていない。許しておけない」「汚染水がいろんなところに流れている可能性が出てきた。柏崎刈羽原発の再稼働をしようとしている東京電力は能力も資格もない」と発言しました。
福井
福井市内では、関西電力地域共生本部の前に集まった参加者がプラカードをかかげて並びました。書道家の青年が「もう動かすな!原発」と書いた横断幕を広げ、歌に思いを込めてアピールしました。
原発問題住民運動県連絡会の林広員事務局長は「9・15もう動かすな原発!福井集会」(福井市中央公園、午後1時)への参加を呼びかけました。
ほかにも、抗議行動を昼休みの時間帯も取り組んでいることや、福島県に被災地ボランティアで入り、被災住民から「国は復興をちゃんとしてほしい」との要望を聞いた報告もありました。
長野
長野県飯田市の健和会病院駐車場前で「キンキラ行動」が行われました。12人が参加し、7人が発言。初めに「脱原発の思いを一緒に表現しましょう!」と呼び掛けられました。
参加者は大飯原発4号機が止まれば稼働ゼロになることを強調。「原発ゼロに。放射能から海を守ろう」と何度も市内を響かせました。
病院職員は「原発関連死が高齢者を中心に増え続けている」と発言しました。
キンカン通信12号を道行く人や周辺の家に約100枚配布しました。
石川
金沢市のJR金沢駅東口広場では61回目の金曜行動が行われ、初めての人など約30人が参加。9月15日に開催するパレードへの参加も呼びかけ、「原発事故は終わっていない」など手作りのプラカードを持ってアピールしました。
「原発は必要かどうか」を聞くシールアンケートを持って通行人と対話していると、自ら応じる人も。対話に応じた金沢市の女性(34)は「政府は原発事故や汚染水流出への対応が鈍い。もっと危機感を持って早急に手を打つべきです」と語りました。
富山
いらんちゃ☆原発@富山は、富山駅前で56回目の金曜行動に取り組み、シール投票やノーニュークスマガジンの配布、ハンドマイクによるアピールを行いました。
今回、暗くなっても目立つようにシール投票用のボードを新しくし、通行する若い人やサラリーマンなどに声をかけました。これまでの投票結果は、原発が「必要」52、「いらない」132、「わからない」70となっています。
10月13日のノーニュークスデーの富山での集会ビラも配布しました。
静岡
静岡県のJR浜松駅前では、35回目の「原発再稼働反対金曜アクション@浜松」が行われ、20人余がギターなどでにぎやかにアピールしました。
参加者は「オリンピックに多額のお金を使うより、汚染水対策をして。『おもてなし』より『おかたづけ』」「大飯原発が止まっても電力は足りる。このまま全部廃炉にさせよう」とマイクで訴えました。
遠くから見つめていた40代の女性は、「毎週続けているなんてすごい。原発は大丈夫か心配。15日に原発稼働ゼロになるなら、そのままにしてほしい」と話していました。
三重
「原発なくせ三重県民会議」は、官邸前行動連帯金曜日集会を津市大門の、まん中広場で開きました。月1回開催で11回目。
参加者は、福島原発は「コントロールされている」とした安倍首相発言を「大うそつき」だと批判し、再び国内の原発が稼働ゼロになることを受けて、「再稼働反対、このまま原発ゼロ実現を」の声もあげていました。
集会では、汚染水問題は「地球規模の重大事態」だとし、県内選出の国会議員に「原発からの撤退」を求める要請書を届けることが確認されました。