原発のテロ対策施設の設置期限について、詳細な設計などの認可から5年の現行制度から、3年延ばし8年とするよう原発事業者から要請されたことが、22日の原子力規制委員会の定例会合で報告されました。規制委では、事務局の原子力規制庁に延長の根拠などを確認し報告するよう指示し、それを受けて改めて議論するとしています。
2013年施行の新規制基準では、原発に意図的な航空機衝突などのテロに対処するため原発を遠隔で制御するシステムなど備えた「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の設置が義務付けられています。特重施設の設置期限は、当初は18年7月でしたが、15年に審査が長期化したとして各原発の詳細な設計などの認可後5年に延長されました。今月9日に開かれた規制委と事業者との意見交換会で、事業者側は建設業界の人手不足などを理由に期限の延長を求めていました。
過去には、19年に工事が見通しより長期になるなどの理由で事業者側から設置期間の延長が要請されましたが、規制委は延長の理由にならないとして認めませんでした。設置が期限内に間に合わなかった場合、原発の運転中であっても停止させられます。
会合では委員からは「最近でも当初の予定より遅れましたというマンション建設などもあるので、実態がどうなのかしっかりとフォローして、事業者側から提案があったときには、対応できるよう準備してほしい」(長崎晋也委員)という発言もありました。
規制委の山中伸介委員長は定例会合後の会見で、5年の期間が事業者と規制当局と議論して決めた数字であるとして、「事業者と国民との間の約束でもあり、経過措置を決めたわれわれ規制委員会と国民との約束でもある。そういったところも重く事業者にも考えてほしい」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2025年10月24日より転載)