日本共産党への内部告発で2023年に発覚した日本原子力発電(日本原電)東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤の施工不良問題で、市民団体が20日、衆院第2議員会館で原子力規制庁からヒアリングをしました。不具合が発生した基礎部分の撤去と造り直しを求める声が多数出ましたが、規制庁は応じる姿勢を示しませんでした。
市民団体は「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」。防潮堤の基礎工事をめぐっては、地中に設置する鉄筋の変形やコンクリートの未充填(じゅうてん)のほか、鉄筋が設計の深さから70センチ高い位置にとどまる「高止まり」が発生したことがわかっています。
この基礎部分について規制庁側は審査会合の場で「取り除いて造り直しを含めて根本的に設計の見直しを」などと原電側に求めていました。しかし原電が基礎を残置し、基礎の追加や周辺の地盤改良で対応する案を示すと、規制庁は「残置することの影響評価」を求めたといいます。
これについて参加者は「規制庁が方向転換した」などとする質問書を提出。この日のやりとりでも「認可された設計通りに工事が行われなかったのだから、造り直すのが社会的常識だ」「規制庁には許認可を出した責任があるのに、なしくずしになってしまった」などの指摘が相次ぎました。
これに対し規制庁側の出席者は「『造り直しも含めた抜本的見直し』と発言したのであって『造り直せ』と指示したのではない」「事業者が出してきた案を審査するしかない」などと回答しました。
(「しんぶん赤旗」2025年10月23日より転載)