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原発建設費の上振れ支援/脱炭素電源オークション募集要綱公開

大規模な火力発電や原発など将来の電源確保を目的として、事業者に長期にわたって支援を保証する長期脱炭素電源オークション(2025年度)の実施のために、参加を希望する事業者や電源が満たすべき要件や契約条件等を定めた募集要綱を、オークションを管理する電力広域的運営推進機関(広域機関)が3日、公表しました。

 同オークションは23年度に開始。この制度では、落札した発電事業者は、電力供給を開始後、最短で20年間にわたって建設費や運転維持費などの支援を、小売り電気事業者から徴収された拠出金で得ることができます。

 支援の原資は、全ての小売り電気事業者などから集められたもの。100%再生エネルギーを選択した消費者を含めて、最終的に消費者負担で原発や石炭火力を支援・延命させる制度です。

 今回の募集量は、政府が「脱炭素電源」とする電源が500万キロワット、LNG専焼火力約293万キロワット。「脱炭素電源」のうち既存原発の安全対策投資分が150万キロワットです。

 3回目となる今回、契約後に規制対応によって建設費などが想定以上に増大した場合、1・5倍を上限に支援の増額を認める制度が採用されました。建設期間が長い原発などの建設費の上振れリスクに対応するために導入されました。関西電力は今年、美浜原発(福井県)の敷地での原発建設の検討のため調査を開始すると発表しており、これを支えることにもなります。

 今回、一部の電源で上限価格が引き上げられました。原子力(安全対策投資を含む)は前回1キロワット当たり年10万円でしたが、今回は同約13・6万円に増えました。

 大幅に上限価格が引き上げられたものもあります。既存火力のアンモニア混焼火力(混焼率20%以上)への改修の上限価格は1キロワットあたり年約37・9万円、前回は同10万円でした。石炭火力は混焼率2割で発電しても、天然ガス火力より多くの二酸化炭素を出します。

 市民団体からは、同オークションが大規模な火力発電や原発を支援し、再生可能エネルギーの導入を妨げるなどとして、廃止を求める声があがっています。(松沼環)

(「しんぶん赤旗」2025年9月5日より転載)