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ひと 原発事故前後の浪江町津島を写した写真集を出版 馬場靖子さん(83)

 福島県浪江町津島に生きる人びとを収めた写真集『あの日あのとき 古里のアルバム 私たちの浪江町・津島』(東京印書館)を、昨年10月に出版しました。「写真に写る多くの人が亡くなりました。故人をしのびつつ、『人が住むことを許されなくなった』津島の原発事故前後の落差を感じてほしい」と話します。

 小学校教員を退職後、友人に誘われて始めたカメラ。物腰が柔らかい語り口にファインダー越しの相手も思わず頬を緩めます。

 学校の保護者から公民館の活動に誘われたり、料理や地域のしきたりを教えてもらったり「教員の世界しか知らない私にとって地域の人は、生活面で良い先輩でした」。当時を思い出し、手で目元を拭います。

 東京電力福島原発事故により一時、生まれ故郷の喜多方市熱塩加納(あつしおかのう)町へ避難。カメラを持つ機会は激減しました。しかし津島に2度立ち入った13年、再びカメラを手にすることを決意しました。

 「事故前は穏やかな暮らしがあり、事故後は荒れていく津島があり、その変化を残すことが私の『告発』だと思いました。強情っ張りだから荒れた状態も家を取り壊すところも見ていられたんだと思います」

 写真集は原発事故前後に撮影した450枚を収録し、全263ページがカラー。56年連れ添う夫の馬場績さんも、「生活の色が出ているよね」とほほえみます。

 文・写真 伊藤 佑亮

(「しんぶん赤旗」2025年3月5日より転載)