
東京電力福島第1原発事故をめぐり、避難指示区域外の福島県いわき市の住民が東電と国に損害賠償を求めた「いわき市民訴訟」(伊東達也原告団長)。原発事故を二度と繰り返してはならないと、原告団が自分たちの取り組みを後世に伝える記録誌『いわき市民訴訟13年のあゆみ』を発刊しました。編集委員長を務めた伊東氏に、事故の記憶とこれからのたたかいへの思いを聞きました。
(福島県・小山田智枝)
伊東氏は原発事故が起こる40年近く前から、故・早川篤雄氏(避難者訴訟原告団長)とともに東電や国に対して繰り返し申し入れをして原発に警鐘を鳴らし、地震や津波への対策を要求してきました。「警告を無視して対策を講じず、事故は起こるべくして起きた」と語気を強めます。
2011年3月11日に東日本大震災が発生、翌12日に福島第1原発が爆発しました。福島県楢葉町から着の身着のまま、いわき市の伊東氏宅に避難してきた早川氏は、勢いよく玄関を開けると「とうとう、やっちまった(事故を起こした)」と叫んだといいます。
「避難指示区域外でも苦難の連続であり、どれほどひどいものであったか」と振り返る伊東氏。その歩みを込めた記録誌を「全国のみなさんに読んでほしい」と話します。
原告団は同年11月16日、役員を中心に「原発事故からの復旧・復興を求める会」(伊東達也代表)と改称し、原発事故被害者として活動を継続。伊東氏は「引き続き、人数をはじめとした避難者の実態を明らかにすること、廃炉やアルプス処理汚染水の問題など、たたかいは続きます」と話します。
(「しんぶん赤旗」2025年2月27日より転載)