日本共産党の志位和夫議長は9日、パリで、フランスの環境政党・緑の党の党本部を訪問し、マリナ・ベロノー国際責任者と会談しました。フランス緑の党は、新人民戦線で重要な位置を占めている政党です。両氏は自国の原発状況を説明し、「原発のない世界」を目指して交流と協力を進めることを確認。会談では気候危機対策や、日欧の平和の課題についても意見交換をしました。
志位氏は、東京電力福島第1原発事故の発生から13年経過しても多数の人々がつらい避難生活を強いられていること、汚染水の増大、燃料デブリの処分をはじめ廃炉への道が困難を極めていること、放射性廃棄物の処分方法がないことなどの深刻な問題点を告発。「福島第1原発事故の経験から、人類と原発は共存できないことはいよいよ明らかです。そして原発問題は、大事故が起きた場合の被害が地球的規模で広がることからも重大な国際問題です。原発ゼロのために協力して力を尽くしたい」と述べると、ベロノー氏は深くうなずき、「素晴らしい考えです。私たちも同じ立場です」と答えました。
ベロノー氏は、フランスが原発依存国で現在も全土に50基以上の原発を有していると説明。フランス西部で新規建設が進み国民への大きな経済負担を強いているほか、東部では原発事故が発生すれば隣国のルクセンブルクに深刻な影響がでる危険があることを指摘し、「原発問題が国際問題だというのはその通りです」と述べました。「再生可能エネルギーを大規模に普及すると同時に、エネルギーを浪費する生産様式や社会の在り方も変えなければならない」と述べました。
志位氏は、党の政策「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を手渡し、30年までに二酸化炭素の50~60%削減を目指していると説明し、「この問題は資本主義のもとでも緊急に最大限の手だてが必要です。同時に、資本の利潤追求を第一におき、果てしない生産と消費の拡大を進める資本主義体制を続けていいのかが問われています」と指摘。ベロノー氏は「消費拡大を第一におく生産システムを変えることが必要です」と応じました。
両氏は平和の問題でも意見交換。ベロノー氏は、ウクライナ戦争と、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が終わらず憂慮していると発言。「国際法を基準とする国際秩序の弱まりを懸念している」と述べたのに対し、志位氏は国連憲章と国際法にもとづく公正な解決がはかられるよう、全世界が団結することが大切だと述べました。
(「しんぶん赤旗」2024年9月11日より転載)