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「奪った人権戻して」 福島原発東京訴訟 控訴審が結審

 東京電力福島第1原発事故で福島県から東京都内などに避難した住民17世帯47人が、国と東電に対して損害賠償を求めた福島原発被害東京訴訟の控訴審が27日、東京高裁(三角比呂裁判長)で結審しました。判決は12月26日。

 原告の多くは避難指示区域外からの避難者です。2018年3月の東京地裁判決では、国と東電は津波対策を怠ったとして、計約5900万円の支払いを命じました。

 原告の鴨下美和さん(53)が陳述に立ち、いわき市の自宅を昨年、手放した際の苦渋の思いに言及。「帰りたいという思いが、消えたわけではない」と語りました。避難先での誹謗(ひぼう)中傷や一緒に避難した子どもたちへのいじめなどに苦しんだ経験を語り、裁判官に対し「国が奪った人権を取り戻してください。私たちがもう一度、普通に安心して暮らせるよう、助けてください」と訴えました。

 閉廷後の報告集会では、鴨下祐也原告団長が、福島では放射線の汚染が今も続き避難せざるを得ないと強調。国と東電にきちんと責任を認めさせ、「被害を救済するにふさわしい賠償制度をつくるためにも、勝たないといけない。事故の被害が無かったことにされてしまいかねない」と語りました。

 弁護団共同代表の中川素充弁護士は、避難指示区域の内と外で損害賠償格差が大きいと指摘し「被害実態にかなった賠償をするべきだ」と述べました。

 福島や大阪など全国から原発避難者訴訟原告らが駆け付けました。日本共産党の岩渕友参院議員がメッセージを寄せました。

(「しんぶん赤旗」2023年7月28日より転載)