【ベルリン=時事】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は13日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談しました。冷却水の確保が課題となっているザポロジエ原発の情勢を巡り意見を交わしたとみられます。グロッシ氏は会談後、記者団に「差し迫った危機はないが、水には限りがあり深刻だ」と警告しました。現場の対応状況を確認するため、同日中に現地に向かう考えを示しました。
冷却水をくみ上げていたウクライナ南部のダムが決壊し、取水が停止する可能性が高まっています。グロッシ氏は「現場の管理者と協議し、どのような危険にさらされているか、自分自身で評価したい」と強調しました。
ロシア軍が占拠するザポロジエ原発は、ウクライナ軍が反転攻勢を仕掛けているザポロジエ州にあり、戦闘の激化は核事故につながるとの懸念もあります。グロッシ氏は、両軍に原発への攻撃禁止などを求めた「5原則」の順守状況について「現時点で(違反に関する)特段の兆候はない」としつつ、現地で状況把握に努めると述べました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月15日より転載)