欧州連合(EU)が気候危機対策の民間資金を集めるために原子力と天然ガスを「環境に優しい投資先」に認定した「EUタクソノミー」をめぐり、複数の環境団体が18日、欧州委員会を欧州司法裁判所に一斉提訴しました。環境に悪影響を与える原子力と天然ガスを除外するよう求め、「うわべだけの気候危機対策はやめよ」と非難しています。
国際環境NGOグリーンピースはプレスリリースで、危険な放射性廃棄物を出し、水を膨大に消費する原子力は「生物多様性や自然環境に壊滅的な影響を及ぼす」と強調。原発の建設期間の長さとそれに伴うコストの上昇からも「原子力は気候危機の適切な解決策ではない」と除外を訴えました。
世界自然保護基金(WWF)や環境慈善事業「クライアントアース」など4団体は連名提訴したと発表。化石燃料である天然ガスを「持続可能なエネルギー」とすることはEUの科学的知見を無視するものだと批判し、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロにするEU目標が達成できなくなると指摘しました。
欧州委員会は昨年2月、脱炭素の投資先リスト「EUタクソノミー」に原子力と天然ガスを含める法令を採択。原子力と天然ガスの除外を求めてオーストリア、ルクセンブルク両政府も同委員会を提訴しています。
(「しんぶん赤旗」2023年4月21日より転載)