運転開始から45年がたち老朽化している関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の安全性に問題があるとして、運転差し止めを福井、京都、滋賀3府県に住む9人が求めた仮処分申請で、大阪地裁(井上直哉裁判長)は20日、住民の申し立てを却下しました。
地裁前で待ち構えた支援者らは「不当決定」の旗を掲げ、怒りの声を上げました。弁護団は即時抗告を検討しています。
決定について弁護団は声明で、老朽化による危険性、原発密集地域であり複数の避難経路で土石流の危険もあるなど無用な被ばくを避けながら安全に避難できる計画になっていないことが無視され、ことごとく関電を救済していると指摘。原発が「活断層の巣」の中にあるにもかかわらず、裁判所は「震源近傍」が何キロなのか自ら判断を示さず、井戸謙一弁護士は「どの論点についても原子力規制委員会の判断内容をそのまま踏襲したような内容。司法の役割の放棄と言わざるを得ない」と話しました。
申立人の木原壯林(そうりん)氏は「目先の経済的利益のために子々孫々にまで禍根を残す原発を推進しようとする岸田政権に迎合する決定だ」と批判し、「反動的な決定を乗り越え、老朽原発廃炉・原発全廃へたたかいを続けます」と決意。同日、住民らによる「福井の老朽原発訴訟の会」(山本雅彦代表)の発足を発表しました。
(「しんぶん赤旗」2022年12月21日より転載)