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原子炉建屋の水素爆発・・規制委 対策改定案を了承

 原子力規制委員会は12月7日、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型原発(BWR)に対する格納容器ベント(排気)の原子炉建屋での水素爆発対策としての位置づけを明確化するための新規制基準の改定案を了承しました。今後、30日間の一般からの意見公募を行います。

 福島第1原発事故では、1~3号機で炉心が溶融し、大量の水素が発生。原子炉格納容器から原子炉建屋に流出し、1、3号機原子炉建屋が爆発しました。また、3号機で発生したと考えられる水素が、ベント時に4号機原子炉建屋に流入し、4号機建屋も爆発しています。建屋の爆発によって、その後の事故対策がより困難になりました。

 改定案では、原子炉建屋の水素爆発を防止するために必要な設備として、ベント設備などを規定。BWRでのベントの原子炉建屋水素防護対策としての位置付けを明確化したとしています。格納容器から水素ガスを排出するためベント手順の整備を規定し、その判断基準に達した場合に「ためらわず実施」する必要があるなどとしています。

 規制庁は改定後、ベントの手順が原子炉建屋の水素防護対策としても妥当なものであるかを審査によって確認する必要があるとしています。

 一方、ベントの判断基準などが変更され、事故時の格納容器ベントのタイミングが速まった場合、短寿命の核種を含むより多量の放射性物質が環境中へ放出される可能性があります。避難や対策への影響も懸念されます。

(「しんぶん赤旗」2022年12月9日より転載)