原子力規制委員会の田中俊一委員長は10月28日、放射能汚染水漏れが続く東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の現状などについて、東電の広瀬直己社長と初めて面談しました。約1時間行われ、冒頭以外は非公開。終了後の会見で広瀬社長は「具体的に、ここをこうやってというような話ではなかった」と述べました。
福島第1原発では作業員のミスなどによる汚染水漏れが繰り返され、現場の対応能力の低下などが懸念されています。23日の規制委の定例会で、直接トップと会って考えを聞くべきだなどの意見があり、今回、異例の面談となりました。
同席した池田克彦・規制庁長官によると田中委員長は、「福島第1の現状は極めて憂慮すべき事態。早急に解決策を講じる必要がある」と指摘し、被ばく線量の低減策など作業環境の改善を求めたといいます。広瀬社長からは、作業員の確保が非常に困難になっていることや、新たな作業や慣れない作業が多くなってきている現状が話されたといいます。
広瀬社長は会見で「悩んでいることや、すぐには決定的な解決策がないものも話させていただいた」と語り、人員確保に関しては「東京電力全体としてしっかり不足のないようにしたい」「(福島第1は)今のところ、とりあえず足りている」と従来の説明を繰り返しました。
一方、東電が申請した柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)6、7号機の再稼働に向けた審査については話題にしなかったといいます。池田長官は「(東電が)現状をどう改善するか、状況を見ながら考えたい」と述べるにとどまりました。