欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が、原子力と天然ガスを脱炭素に貢献するエネルギー源とみなした「EUタクソノミー(分類)」をめぐり、グリーンピースなど複数の環境団体が19日、欧州委員会に対して決定の見直しを求める手続きを行いました。来年2月までに回答を得、それが不十分なら欧州司法裁判所に提訴するとしています。
EUタクソノミーは、脱炭素に貢献するエネルギー源への投資を促すために作成された投資家や企業向けのリスト。1月に欧州委が発表した案では、加盟国内に強い反対のある、化石燃料である天然ガスや放射能汚染の危険のある原子力を「クリーン」な投資先と分類しました。7月の欧州議会でこれが承認されていました。
ガスと原子力に関して見直しを求めたグリーンピースEUのアリアドナ・ロドリゴさんは「欧州委員会はガスと原子力が環境に優しいとの誤った認証に手を貸している」と批判。天然ガスが気候と経済に混乱をもたらし、放射能廃棄物や原発事故の危険性も「無視できないほど重大だ」と強調しました。
また世界自然保護基金(WWF)、地球の友ドイツなど四つの環境団体は、天然ガスについての決定見直しを求めました。
オーストリアやルクセンブルクもEUタクソノミーからの原子力と天然ガスの除外を求めています。オーストリアのゲウェッスラー気候相は原発や気候危機対策を講じるふりをした「グリーンウォッシュ」だと批判しており、欧州司法裁判所への提訴を準備しています。(吉本博美)
(「しんぶん赤旗」2022年9月21日より転載)