Q 東電株主代表訴訟って?
A 津波対策を怠り福島第1原発事故により東京電力に多大な損害を与えたとして東電の株主が、旧経営陣5人に東電へ22兆円の賠償をするよう求めていた裁判。株主代表訴訟は、会社役員の意思決定や行動によって会社に損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合、株主が会社に代わって役員の責任を追及するため提訴する制度です。一審東京地裁は7月13日、勝俣恒久元会長と清水正孝元社長、武藤栄、武黒一郎両元副社長の4人に計13兆3210億円を東電に支払うよう命じる判決を言い渡しました。
Q 判決の内容は?
A 国の機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」について科学的信頼性を有する知見と認定。「長期評価」に基づいた津波対策工事に着手することが必要であり、可能であったとしています。また、大規模な防潮堤以外に建屋の水密化などの対策を容易に着想して実施できたとし、それらの措置が講じられた場合には「重大事故に至ることは避けられた可能性は十分あった」と判断しています。賠償額は、廃炉費用や被害者への賠償、除染費用など東電の支出が確定した部分について対象にしています。裁判の賠償額としては国内史上最高とみられます。
Q 今後はどうなるの?
A 同月27日に勝俣氏らが控訴。株主側も5人の被告のうち小森明生元常務の賠償責任が認められなかったことなどを不服として控訴したため、二審で争われることになります。
(「しんぶん赤旗」2022年8月14日より転載)