政府は29日、2023年度予算の概算要求基準を閣議了解しました。社会保障費の自然増を22年度の見込み額から1000億円削減して5600億円と見込む一方、軍事費や原発推進予算などは事実上の青天井とします。軍事費と原発に“大分配”するのが「新しい資本主義」の正体です。
概算要求基準は各省庁が財務省に予算を要求する際の目安です。軍事費や脱炭素、新型コロナウイルス感染症対策などは「予算編成過程で検討」するとし、金額を示さない「事項要求」を認めます。人件費など「義務的経費」は22年度の範囲で要求を認める一方、各省庁で使い道を決められる「裁量的経費」は22年度当初予算(14・9兆円)から1割の削減を求めます。その上で、削減した3倍までの額を「重要政策推進枠」として予算要望することを認めます。
「重要政策推進枠」は岸田文雄政権の目玉政策である「新しい資本主義」に関連する予算が対象です。デジタル化の促進やエネルギー・食料を含めた経済安全保障分野も要望できます。
軍事費については、「骨太の方針」で「5年以内に抜本的に強化する」と明記。自民党は参院選公約で「国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に」「防衛力の抜本的強化」すると掲げました。脱炭素の名で岸田政権は原発を推進します。岸田首相は経団連の夏季フォーラムの講演で「脱炭素化を考えますと、原子力の活用は極めて重要」と強調しました。
財務省は8月末に各省庁からの要求を締め切り、予算編成作業を本格化させます。
(「しんぶん赤旗」2022年7月30日より転載)