「法律を読む素養が少しでもある人ならば、原発の情報がこれに該当しないのは、瞬時にご理解いただけるはずです」―。首相官邸で秘密保護法案を取り仕切る礒崎陽輔首相補佐官(自民党参院議員)が、法案の弁明に追われています。
秘密保護法によって、原発の情報が隠されるのではないかという指摘への自身のホームページ(10月1日付)での“反論”です。さらにこうも発言しています。
「事実に基づかない批判は、正しい議論を阻害するので、是非お止めいただきたい」「何でもかんでも原発問題に結び付けて批判しようとする勢力があるようです」。同法案を懸念する人に筋違いな暴言です。
礒崎氏は「原発(情報)が秘密になることは絶対にない」(9月18日のBSフジ番組)などと繰り返してきました。
しかし、法案を担当する内閣情報調査室の橋場健参事官は10月24日の超党派国会議員の集まりで「原発関連施設の警備等に関する情報、テロ活動防止に関する事項として特定秘密に指定されるものもありうる」と、原発情報が「特定秘密」の対象となることを認めました。
秘密保護法による原発情報隠しを懸念する声は、東京電力福島第1原発がある福島県議会でもあがっています。10月9日に「慎重な対応を求める意見書」が全会一致で可決されました。
意見書は「当県が直面している原子力発電所事故に関しても、原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から『特定秘密』に指定される可能性がある」と指摘しています。
法通れば規制さらに進む・・共産党福島県議団 神山悦子団長の話
礒崎氏が、これほど強く否定するのは、「原発情報が秘密になる」という指摘が、法案の危険な本質を突いているからではないでしょうか。
福島県は原発廃炉にむけて「廃炉安全監視協議会」をつくっています。県の専門官が第1原発内に調査で入ろうとしたら、カメラが制限されたり、監視カメラがある場所での撮影は「テロ対策のため撮影禁止」と規制を受けています。東電の手のひらの上でしか調査できないのが現状です。
県民や自治体の首長は、東電の秘密体質と東電の流す情報しか知らせない国に、強い不信感を持っています。この上に、秘密保護法となったら、ますます情報隠しが進むことは明らかです。