【ハノイ=面川誠】ベトナム国会で原発建設をめぐる論議が交わされています。国会は2016年11月に政府の提案を受け、ロシアと日本が受注したニントゥアン省の原発建設計画中止を決議しました。しかし国会経済委員会は今年5月24日、計画自体は存続させるべきだとの報告書を提出。議員からさまざまな意見が上がっています。ベトナム各メディアが伝えました。
報告書は国会決議について、原発計画の「廃棄」ではなく「中止」だと指摘。建設予定地の住民は土地利用目的の変更などができず生計が行き詰まっているとして、計画に沿った住民救済措置を急ぐよう求めました。
また、電力需要の増加に対応するために原発を検討課題として残すべきだと主張。ベトナム共産党と政府に対して原発政策の明確な方向性を示すよう要請しています。
これについてファム・ミン・チン首相は同27日、国会でベトナムメディア記者団に対して、原子力の開発は慎重に論議、検討されるべきであり、政府は共産党政治局と中央委員会の政策を待つと述べました。
31日の国会本会議では多くの議員が報告書に賛同する意見を述べましたが、ホーチミン市選出のチュオン・チョン・ギア議員は計画の「完全な廃棄」を主張。日本は福島第1原発の大事故から10年以上たっても事故処理が終わっていないと指摘し、原発管理能力が「極めて低い」ベトナムが原発を容認してはならないと訴えました。
ニントゥアン省選出のダン・ティ・ミー・フオン議員は、住民が原発に不安を抱いていると述べました。
(「しんぶん赤旗」2022年6月5日より転載)