さいたま地裁
東京電力福島第1原発事故で、埼玉県などに避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた裁判の判決が20日、さいたま地裁でありました。岡部純子裁判長は東電に対し、原告63人に約6500万円の賠償を命じる一方で、国の責任は認めませんでした。
判決後に開かれた報告集会と会見で報告した、原告弁護団事務局長の吉廣慶子弁護士によると、判決は、2002年に地震調査研究推進本部が公表した三陸沖などの地震活動の「長期評価」により、国は同原発への津波の到来が予見できたにもかかわらず「規制権限を行使しなかった」と指摘。一方で、予見可能な津波と11年3月11日の津波の相違が「非常に大きい」として、国が規制権限を行使していても事故を回避できたことが認められないとしています。
吉廣弁護士は「国は津波を予見できたと認めながら、事故を回避できたことを認めない、おかしい判決だ」と批判しました。
原告らも「事故が起きればコントロールできないようなものを、国は監視する義務があると思うのに、責任がないなんて、ふに落ちない」「声を上げたくても、上げられない人のためにも頑張りたい」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2022年4月21日より転載)