改めて反対表明
【ベルリン=桑野白馬】ドイツ政府は22日、欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が、原子力発電を地球温暖化対策に資する投資先だと認定する草案を出したことに対し、改めて反対を表明しました。ハーベック経済・気候保護相とレムケ環境相は同日に発表した共同声明で「政府として、リスクを伴い、高コストな原子力発電を(温暖化対策に)含めることを明確に拒否する」と強調しました。
声明は、発電規模が小さく“小型で安全”と説明される「小型モジュール原子炉」についても「同様の危険があり、持続可能でない」と指摘。「大規模な事故が発生すれば、人と環境に長期的な危険がおよぶ。コストも高く、放射性廃棄物の最終処分の問題も解決されていない」と警告しました。
また、EUが目指す再生可能エネルギーの普及と持続可能な経済への移行は「民間資金をできる限り効率的に投資することが中心の課題となる」と指摘。草案が原発に投資を呼びこみ、再エネへの適切な投資を妨害する恐れがあると批判しました。
声明は、ドイツが今年にも全原発を停止する目標を掲げていることに言及。スペイン、オーストリアやルクセンブルクも草案に反対していることを念頭に「わが国を含む加盟国の反対意見を無視して草案を変更しないのであれば、ドイツ政府は草案を拒否する」と表明しました。
欧州委が発表した草案は、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ実現に原発と天然ガスが必要と明記。気候変動対策に役立つとする「EUタクソノミー(分類)」に追加するとして、EU加盟国の意見を求めていました。
(「しんぶん赤旗」2022年1月25日より転載)